中和をざっくり言うと、
酸H+と塩基OH-がちょうどよく反応して水H2Oができるという反応です。
そのちょうどよくを利用します。
中和滴定の操作で、濃度がわからない酸または塩基の濃度を求めていきます。
高校の化学基礎では、
「中和滴定の操作で、市販の食酢に含まれる酢酸という酸の濃度を求めましょう。」
という実験が行われます。
試験にも定番でよく出題されます。
しかし、、、
高校生には難しいようです。
まずは試薬、器具の名前を覚えなくてはいけません。
シュウ酸
水酸化ナトリウム
酢酸
フェノールフタレイン
メスフラスコ
ホールピペット
ビュレット
コニカルビーカー
これらは、必須です。覚えていないと困ってしまいます
次に実験の流れをおおまかにすると、、、
0.0500mol/Lシュウ酸で、濃度不明の水酸化ナトリウムを滴定して、水酸化ナトリウムの濃度を求めます。
濃度が確定した水酸化ナトリウムで、濃度不明の食酢中の酢酸の濃度をもとめます。
と、これだけなんですが、、、
なぜ、水酸化ナトリウムの濃度が不明なのか、、、
水酸化ナトリウムはNaOHで分子量が40です。
0.100mol/Lの水溶液を作りたいときは、理論上は4.00gの水酸化ナトリウムに水を加えてを1Lにします。
しかし、水酸化ナトリウムの性質上無理なのです。
しばらくすると質量が変わります。
潮解性があるためです。空気中の水や二酸化炭素と反応してしまうので、正確に測りとることができず、きっちり0.100mol/Lの濃度の水溶液を作ることができないために、潮解性や風解性がないシュウ酸で滴定操作をして水酸化ナトリウムの濃度を決定しなければならないのです。
また、水酸化ナトリウムの水溶液は、目に入ると角膜を溶かし失明してしまう危険があるので、取り扱いには慎重になります。
それから、、、水
水道水は使用できません。純水または蒸留水を使用します。
水道水には消毒殺菌のため塩素など不純物が含まれており、pHも中性ではないからです。
また、正確に滴定を行うために、器具の扱いで注意すべき点が多々あります。
まずは、100mLメスフラスコです。
正確に体積100mLの水溶液が測りとれます(^^)v
拡大すると、、、
温度20℃の時に、誤差はプラスマイナス0.12mLという精度のメスフラスコである!ということがわかります。
標線まで水溶液を入れるのですが、液面の底と標線が合うようにします。
その後、栓をして溶液を降り混ぜ濃度を均一にします。
10mLホールピペットも、精巧にできています。
拡大します
やはり、20℃の時に誤差は+-0.02mLとなっています。ここでも、標線に合わせるときの注意が必要です。また、標線を勘違いしてしまう人もいます。
ホールピペットは10mL欲しい水溶液を口(安全ピペッター)で吸い上げ、人差し指で押さえて少しずつ空気を抜きながら標線にあわせコニカルビーカーに測りとり、最後の1滴まで出す操作をします。
人差し指で栓をして、膨らんだところを握ると、手で温められたホールピペット内の空気が膨張して最後の1滴まで押し出すのです。
栓をしないと、上から空気が逃げていつまでも押し出せません(T_T)
さらに、ホールピペットは『共洗い』という操作もあります。
内壁が濡れていると、ホールピペットで正確に10mL測りとっても、濃度が変化してしまうためです。
そこで、今から測りとる水溶液で数回内壁をすすいでから使用します。
内壁を乾かせばいいのですが、細いので自然には乾きにくいのです。乾燥機など熱を加えてしまうと、ガラスが膨張するなどしてせっかく正確に作られているのに、体積が狂ってしまうのです(T_T)
ビュレットは、50mLを使用しています。こちらも、濡れていれば『共洗い』が必要です。
そして、水溶液を入れたあと先端に空気が残ります。この空気を抜かないと体積が狂ってしまいます。
ただ、コックを開いて水溶液を流すだけ、、、なんですが、うっかり忘れたりしてしまいます。
また、目盛りの読み方も難しく、50mLのビュレットにきっちり入れると、目盛りは0なんです
写真の目盛りは、、、
0.20かな。
目盛りの1/10まで読み取ります。
実験の目的。
試薬の説明、、、
実験の手順だけでなく、器具の説明と操作方法に、注意点などなど、、、
本当に、説明力が問われるし、難しい実験なのです