なんとなく実験しています

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日々のアウトプット、メモ帖、備忘録として

※正解は一つではないです。選択肢の一つとして参考にしていただければと。

中和滴定でメチルオレンジが使えない時

中和滴定実験は、毎年行う定番中の定番実験です。

過去の中和滴定実験はコチラから

中和滴定実験とは、ざっくり言うと、、、
酸と塩基を合わせて、ちょうどよく中和させるというもの。

そのちょうどよくなる瞬間がすぐにわかるように、指示薬を使います。

毎年行っている実験では
しゅう酸(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)で水酸化ナトリウム溶液の濃度を確定し、食酢(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)を滴定して食酢の濃度を求める実験です。
指示薬はフェノールフタレインを使用して、無色から赤色に変色する1滴に勝負をかけてます(笑)

イメージ 2

こんな感じ。1滴で変化します。

イメージ 3

薄いピンク色が目安です


その指示薬のフェノールフタレイン溶液をメチルオレンジに代えてみます。

メチルオレンジは酸性では赤色を示しますが、塩基性になると橙色に変色します。

教科書では、弱酸と強塩基の滴定実験にはメチルオレンジの指示薬は使えません❗となっています。

どういうことなのか、、、生徒に考えさせようという実験です。

0.05mol/Lしゅう酸(弱酸)10mLと約0.1mol/L水酸化ナトリウム(強塩基)で滴定をすると、水酸化ナトリウム約9~10mLでフェノールフタレイン溶液は無色から赤色に変色して、ちょうどよく中和したことがわかります。

しかし、、、指示薬にメチルオレンジを使用すると、水酸化ナトリウム約5~6mLで変色してしまいます。
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滴定をしていると、変色具合も分かりにくいです。元の色を隣に置いて置かないと、変化に気付きにくいです。
定量フェノールフタレインを使用したときと比較すると大幅に少なくなります。

滴定曲線というグラフで考えると簡単です。
弱酸と強塩基の場合の曲線です。滴下量が10mLのところでpHが一気に変化しています。
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中和点(星印)を確認すると、、、
フェノールフタレイン(PP)のちょうど変色域(pH8.0無色~9.8赤色)のところです。

ところが、メチルオレンジ(MO)の変色域はpH3.1(赤色)~4.4(橙色)です。
中和点のところをみると、変色がすでに終わって橙色になっています

ちょうどよく中和していないのに、変色が完了してしまっては、いつ中和点に達したか全くわかりません

正確な滴下量のデータが得られないと、水酸化ナトリウムの濃度を計算で求めることもできません。

ということで、弱酸と強塩基の滴定実験ではメチルオレンジは用いることができません。


メチルオレンジが使用できるのは、
強酸と強塩基(塩酸と水酸化ナトリウムなど)
強酸と弱塩基(塩酸とアンモニアなど)
といった酸性よりに中和点がある場合です。



実験操作だけでも注意点が多々ある中で、果たしてどうなるのか、、、

フェノールフタレインとメチルオレンジの2つの試薬を使ってそれぞれ滴定し、メチルオレンジが弱酸ー強塩基では用いることができない理由を考えさせることが果たしてできるのか、、、

個人的には考えさせる実験を試みる教諭をサポートできるのかドキドキです