<エステルのけん化>
薬品庫にあった「ギ酸エチル」と「酢酸エチル」をけん化してみました。
どちらも無色透明な液体ですが、独特な香りがします。
文献では果実の芳香、ギ酸エチルは桃の香り、酢酸エチルはパイナップルの香りなどとありますが、実際はセメダインのような接着剤系の匂いがしました。
二層に分離しました。
上層がエステル、下層が水溶液です。水と油のような関係です。
よく振りまぜながら、ウォーターバスで約60~70度で1分程度温めます。
※よく振りまぜないと、どうなるか、、、
ギ酸エチルは沸点が54度、酢酸エチルは沸点77度です。あっという間に上層部のエステル化合物は蒸発してなくなってしまいます。
水酸化ナトリウムを加えて振り混ぜただけでも発熱反応するので、温水は少し低めにして時間も短くしたほうがいいかもしれません。
慎重派?実験に慣れていない生徒は振り混ぜるというより、ゆらゆら揺らすだけで、のんびり温水に試験管を入れているだけなので、上層部のエステルが蒸発し残るは水酸化ナトリウムの水溶液だけ・・・ということになり思うような反応が起きにくいかもしれません。
すぐに一層に近くなります。
と反応したハズ。(不可逆反応です)
ということで、本当にけん化できたのか確認します。
<ヨードホルム反応>
ヨードホルム反応は、CH3CO-、CH3CH(OH)-の構造を持つ化合物が反応します。
エタノールができていれば、ヨウ素溶液を滴下したら反応するハズです。
できました~!!
本来は、さらに温浴させて水酸化ナトリウム水溶液を加える予定でしたが、、、反応してしまいました。
※理由としては、手早く行ったため、試験管の温度もあまり下がっていなかった。また、2mol/Lの水酸化ナトリウムを加える予定が、6mol/Lを加えたため、水酸化ナトリウムを加えなくても反応が起きたと考えられます。
※ギ酸エチルではなくギ酸メチルにしたら、ヨードホルム反応ができるエタノールと、メタノールで比較できたのかもしれません。
<銀鏡反応>
銀鏡反応は、アンモニア性硝酸銀水溶液にアルデヒド基ーCHOを持つ化合物を加えると試験官の内壁に銀が付着する反応。
予想としては、ギ酸はカルボン酸(カルボキシ基)とアルデヒド(アルデヒド基)の性質があるので、ギ酸エチルをけん化した試験管はできそうかな?
アンモニア性硝酸銀水溶液を作ります。
沈殿が消えるまでアンモニアを加えてから、エステルをけん化した試験管に加えて温めます。
できました??
ぎ酸エチルをけん化した試験管は反応しました。が、酸化銀の沈殿のようにも見えます、、、
ただ、酢酸エチルをけん化した試験官は無色のままなので、銀鏡反応なのかも。
それでは試験管内の水溶液を廃液に・・・
お~わずかに付着?本来できる銀鏡反応のようなキレイな銀の輝きはないので、苦しい反応でしょうか。
※本来の?銀鏡反応・・・
ということで、エステルのけん化は少しコツが必要です。
温度と、水酸化ナトリウムの濃度と量と。
水酸化ナトリウムが多すぎると、銀鏡反応をしたときに酸化銀の沈殿ができてしまい、違いがわかりにくいことも考えられます。
実験の準備や事前実験をしていても、なかなか思うような反応を生徒にさせることは難しいです。
(補足)
エステルはカルボン酸とアルコール(+濃硫酸)をエステル化して得られる化合物です。過去にもエステル実験をしました。
そのエステルを希硫酸で加水分解したり、水酸化ナトリウムでけん化したり。
エステル化の実験は比較的簡単なので生徒実験をしていますが、そこからさらに考えさせる実験を行うということで、エステル化によって得られたエステル化合物を抽出して、さらに加水分解やけん化して、確認する実験がこれから増えてくるのかな?と思います。なかなか難しいですが~~~