高校化学基礎では定番の酸化還元滴定実験です。
濃度が既知の過マンガン酸カリウム水溶液と、オキシドール中の過酸化水素を反応させて、H2O2の濃度を求めるというもの。
過マンガン酸カリウムは酸性の時と、中性・塩基性の時では酸化剤として異なる反応をします。
過マンガン酸カリウムによる酸化還元滴定では、無色になるマンガンイオンの特性を利用するので、硫酸を使用して酸性の状態にします。
硫酸を入れ忘れると、酸化マンガン(Ⅳ)が生成されて褐色になってしまいます。
試験や考察問題では、硫酸で酸性にする理由や、なぜ塩酸や硝酸は使用できないのか述べさせることがあります。
天邪鬼なので、ホントウに使用できないの?と試してみました。
※6mol/L硫酸の代わりに6mol/L塩酸と、硝酸を用意して滴定実験してみました。
※ 0.04mol/L過マンガン酸カリウム、3%過酸化水素(オキシドール)を1/10希釈
<実験結果>
塩酸
滴定量は硫酸時と変わらない。
塩素のような刺激臭あり。気体の色は気づかず。
硝酸
滴定量は硫酸と変わらず。特に変化なし。
という結果でした。
過マンガン酸カリウム溶液の濃度を0.01mol/L~0.1mol/Lの間でいろいろ試してみました。
60℃ほどにコニカルビーカーでオキシドールを加熱しても、同様でした。
塩素の黄緑色の気体は確認できませんでしたが、塩素系のキツイ臭いは「混ぜるな危険」の状態で、すぐに窓を開けて換気をしました。ドラフト内で行うべきだったと反省。
<教科書的?・定説?>
塩酸を用いると、塩酸が還元剤として働いてしまい滴下量の増加が予想され、硝酸を用いると滴下量は減少する可能性があるため正確な濃度を実験結果からは求められないと資料集などには記載されていましたが、今回の実験では確認できませんでした。
ただ、発生する気体が酸素ではなく塩素や一酸化窒素のような有毒なものが発生したり可能性があるので、生徒実験は行わない方がいいですね。
また、オキシドールではなく、シュウ酸ではまた違う結果がでたのかもしれません。
生徒実験では使わないので、試薬が余ることがあれば試してみたいと思います。
※おまけ
塩酸を使って酸性化にしたもの。
左 時間が少し経過して酸化マンガンができたのか褐色に。