なんとなく実験しています

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日々のアウトプット、メモ帖、備忘録として

※正解は一つではないです。選択肢の一つとして参考にしていただければと。

噛みあわない会話と、ある過去について など

『噛みあわない会話と、ある過去について』 辻村深月
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淡い色調の装画ですが、かなり怖い短編集です。
どの話にも出てくる悪意、悪気のない登場人物たち。明るく人気があると思っている人たちが過去に屈託なくとった態度や言葉によって苦しめられるというもの。何気なく発した言葉の持つ剣のような武器によって、傷つけられた人たちの叫び・・・

読んでいて、自分が考えなしに発して傷つけてしまった人に、小説のように反撃されたらどうしようと怖くなってしまいました。
思い当たることばかりで、最近の自分は嫌な人間そのものでした。
数年変わらずにいた職場の人間環境がガラリと変わり、余裕がなかったのは言い訳ですが、小説の中で、「どうしてそこまで他人に興味があったの?~略~そこまで強く相手を嫌ってバカにできる労力はどこからくるの?」という部分を読んだとき、問われているのはまさしく最近の私だなあ・・・と苦い苦い気持ちになりました。
最近の自分は自分でも好きになれなかったけれど、どうにもコントロールできなかった。人間的に成熟していない自分を情けなく思うと泥沼的に落ち込んでいきます。



『やばい日本史』 本郷和人
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歴史上有名な人ばかりですが、偉大な人だって短所、欠点があります。弟の嫁を取ってしまったり、浮気を繰り返したり、悪口合戦をしたり、なかなか刺激的な話ばかり。
子供向けにしては少し刺激が強いけれど、高校生向けにしては受験では全く必要のない話ばかりですが、歴史上の偉人たちの偉業ではなく実生活を垣間見て、少しでも日本史に興味・親しみをもってもらえれば・・・というところでしょうか。
若き家康が、武田信玄から逃げかえる際、恐怖でう〇こを漏らしながら・・・なんて話はやはり子供向けでしょうか。



生命科学の未来』 本庶佑

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昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑先生。
職場にガンと闘病しながら仕事をしている方が数人います。病気と仕事の両立の様子を間近で見ていると、いかにそれが難しいのか、考えさせられます。
本人も、仕事が生きがいだけれど今までと同じように仕事ができないことにいら立ち、他の人の協力なしではやっていけないことに歯がゆい思いを抱きながら、副作用で最悪な体調の中必死で頑張っている。
周りも、サポートしてあげたい気持ちはあっても余裕がない。また日によって異なる体調は他人には理解できないので、病気を理由に甘えているのではないかと困惑するばかり。
引き際を考えてほしいと思ったり、仕事を教えていただいたり信頼していろいろ相談していたので、切ない気持ちもありつつ、またいつかは自分の身にも起こるかもしれない状況を考えると仕事と両立してほしいとも思うなど、複雑な心境です。
本の中で、生物にとって最大の価値、幸福は「生きること」とありました。
健康の大切さを再認識しつつ、早くどんなガンにも効く薬や治療方法が確立されることを祈るばかりです。