少し前・・・ハーバード大学医学大学院教授の水野秀一さんの講義を拝聴しました。
学生対象でしたので、前途ある若者たちに向けてわかりやすい言葉を用いての熱い講義でした。
高校時代の部活、人との出会いがいかに素晴らしいものだったか・・・
人と違うオリジナリティを持つこと、真理を追究することの大切さ・・・
「VERITAS」の意味はラテン語から真理だそうです。真理を求めていくことの重要性、そのための努力の必要性。
そして紆余曲折の度に思い出す恩師の言葉を紹介してくれました。
物理学者寺田寅彦の「科学者のあたま」より抜粋された「科学はいのち知らずの者共が流した血の川のほとりに咲いた花園である」という言葉を恩師に書き記され、辛いときは何度も読み返したということでした。
この言葉は、京都大学の上村研究室のHPの雄叫びにも掲載されています。
壮絶な言葉だなあと。
でも、異国の地でこの言葉をいつも思い出しながら研究に没頭したという水野氏の言葉には重いものがありました。
ふと、放射線を研究していた「山田延男」氏のドキュメンタリー番組を思い出しました。
キュリー夫人に従事して研究していたけれど、放射線が人体に及ぼす影響がまだ明確に解明されていなかった時代、体調不良の原因も治療法も当時はわからず壮絶な闘病の末に亡くなった科学者です。
そういった研究者の血を流して研究されてきた結果、現在は福島原発のように紙一重な部分もありますが、医療現場に活用されるなど花開いています。
水野氏の講義は、当初は静かに聞くだけの講義でした。
しかし、ハーバード大学ではとにかくわからないことは質問する姿勢が尊重されるということ。質問しないということはきちんと話を聞いて疑問を持たないということで成績にも響くんだという話を再三していたので、たくさんの質問が飛び交い、また講義が終わっても生徒たちが水野氏を取り囲むなど、活気あるものとなりました。
さて、教育現場は迷走中。
詰込み教育からゆとり教育、そして生きる力を育む教育。
水野氏が一番熱く語った部活動についても、生徒自身が受け身のスマホ世代、親からのクレーム、教員の働き方改革のために縮小されるなど、生徒が仲間とともに作り上げる自主的な活動の場は窮屈なものに。
また、英語検定の迷走、予定されている記述が入る共通試験も問題だらけです。
水野氏の来日に合わせて行われた講義。貴重なものとなりました。