酵素は、化学反応の触媒として働くタンパク質で、いろいろな種類があります。
ポイントは、
①特定の基質にしか作用しない、基質特異性がある。
②最適な温度がある。
③最適なpHの範囲がある。
この3つの性質について、カタラーゼ(ドライイースト)と無機触媒として働く酸化マンガンⅣ(粉末)を使用して性質を確認する定性実験と対照実験を行いました。
①基質特異性の確認。
酸化酵素であるカタラーゼは、過酸化水素を水と酸素に分解する触媒として働きます。
3%過酸化水素水約3mLに、酵素(ドライイースト)・無機触媒(酸化マンガンⅣ)をそれぞれ薬さじ小さじ1加えて反応をみました。どちらも気体が発生し、線香で確認をしてみました。(↓動画)
②温度の確認。
3%過酸化水素水を加熱したところにドライイースト・酸化マンガンⅣを加えてみるとどうなるでしょう。(↓動画)
酵素の最適温度は図説を見ると35~55℃となっています。今回のように沸騰するような高温だと・・・・また、酸化マンガンⅣのかなり激しい反応にビックリしました。
③pHの確認
活発になるpHは酵素によって変わります。カタラーゼの最適pHは中性です。
酸性、塩基性では働きが悪くなるハズ。ところが、実験は教科書通りにいかないものなんです。
〇3%過酸化水素水に塩酸約2mLほど加えて「ドライイースト」を加えてみました。
予想では中性ではないので反応しないハズ・・・ところが、なぜか反応してしまいました。
ということで、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム水溶液を使って試してみました。
あ~~わずかに気体が発生してます。水酸化ナトリウムが一番反応は少ない感じでした。
働きが悪くなる・・・ということで反応の程度を比較させました。
〇3%過酸化水素水に希塩酸を約2mLほど加えて「酸化マンガンⅣ」を加えてみました。無機触媒はpHに関係なく反応するので予想どおり。ただ、酸化マンガンⅣの黒色が褐色に変化してしまいました。
ということで、また希塩酸・希硫酸・水酸化ナトリウム水溶液でも試してみました。
酸化マンガンⅣは塩酸、硫酸を加えると色が変化してしまいました。酸化還元かな?と考えましたが、濃塩酸ではないので塩素臭はしなかったです。
※生物基礎の実験で行われますが、化学のたんぱく質のところでも勉強します。
また、カタラーゼはほとんどの生物に含まれ、特に肝臓(レバー)などに多いと言われていますが、野菜でもなんでも実験に使用できます。
片付けを考えると、レバーは夏場はかなり生臭く試験管などの洗浄も大変です。
担当の先生によって、それでも王道の肝臓で!という時と、家の畑にあった大根で!なんていう時もありました。
ドライイーストは粉末で、本校にある酸化マンガンⅣも粉末だったので比較しやすかったです。
※おまけ
線香を試験管に入れるのに、便利な道具を使った時もあります。線香が短くなった時にクリップで挟んで使用し役に立ちました。