なんとなく実験しています

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日々のアウトプット、メモ帖、備忘録として

※正解は一つではないです。選択肢の一つとして参考にしていただければと。

コロイド溶液の性質 透析実験2015

高校化学で定番の「コロイド溶液の性質」実験を行いました。

コロイド溶液の生成
沸騰している純水に20%塩化鉄FeCl3溶液を約1mL滴下して、水酸化鉄Fe(OH)3のコロイド溶液を作ります。

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色の変化に、注目

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ポイントは、沸騰しているところに滴下です。
最初にFeCl3を滴下してから加熱すると、濁ってしまう場合があるようです。

透析実験
生成したコロイド溶液は不純物(小さな分子やイオンなど)を含んでいます。そこで、透析をしてコロイド粒子以外の不純物の確認実験をします。

ヴィスキングチューブと言われる透析用のセロハンチューブを使用しています。

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直径28.6mmのもので、約20~25cmの長さに切って、片方だけ縛ります。その後、純水に浸しておくと柔らかくなって擦るように広げてコロイド溶液を約5mL入れます。

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ポイントは、純水(蒸留水)を使用することです。水道水には塩素などが入っているため実験では使用できません。

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袋の外側につかないように入れていきます。

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1~2分ほど、純水中で揺らしてから試験管に取り分けます。AgNO3、メチルオレンジ
ヘキサシアニド鉄2酸カリウムを数滴加えます。

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コロイド溶液中の不純物(小さな分子やイオン)のClイオン、Hイオンの確認、またFe3イオンがないことの確認ができました!

この技術を応用して?人工透析があります。

詳細な考察は昨年のblog↓を参考にしてください

canacana44.hatenablog.com




凝集(凝析)
凝集には「凝析」と「塩析」がありますが、「凝析」の実験を行いました。

コロイド溶液のFe(OH)3を試験管に、取り分けます。

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少量の電解質を加えます。
左から、、、
塩化ナトリウムNaCl(Na+、Cl-)
塩化カルシウムCaCl2(Ca2+、 Cl-)
硫酸ナトリウムNa2SO4(Na+、 SO42-)
リン酸ナトリウムNa3PO4(Na+、PO43-)

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硫酸ナトリウムと、リン酸ナトリウムを入れた試験管のみ濁りました!(*^^*)

約1時間後

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実際の実験では硫酸ナトリウムが10~15分で沈殿するので、沈殿の様子が確認できます。

凝析で沈殿ができる仕組みをざっくり、、、

疎水コロイドであるFe(OH)3はプラス+の電荷を持っているので、互いに反発しているためくっつきにくくなっています。
そこで、マイナス-の、電荷を持つ電解質の溶液を、数滴加えると、、、プラスとマイナスで引き合ってくっついて大きな大きな粒子に雪だるまのように膨れ上がり沈殿ができていくのです。

教科書などでは、コロイドと反対の電荷を持っていて価数の大きなイオンが有効!となっていますが、、、、
ここで疑問が
今回は、プラス+の電荷を帯びているFe(OH)3のコロイド粒子です。マイナス-の価数が一番大きいのは、、、
塩化物イオン(Cl-)は一価
硫酸イオン(SO4 2-)は二価
リン酸イオン(PO4 3-)は三価

ということは、、、
リン酸ナトリウムが一番有効だから凝析速度も速いハズ!
でも、、、硫酸ナトリウムより遅いのは何故か。
リン酸は3段階で電離しているためと考えられます。
1段階 H2PO4
2段階 HPO4 2-
3段階 PO4 3-
しかし、第2段階反応が主だと言われているのです。

ただ、、、沈殿の量が多い気がするので有効なのかな??( ̄▽ ̄;)

この凝析は、浄水場で応用されています。

チンダル現象
コロイド溶液にレーザー光線を当ててみると、、、コロイド粒子に光がぶつかって、光の道筋が見えます。

生成したFe(OH)3と、セッケン水を比べてみます。

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どちらも光の道筋が見えますが、セッケン水よりも、水酸化鉄の方がきれいにスッキリ見えます。
これは、疎水コロイドの方が親水コロイドよりも光の屈折率の関係ではっきり見えるためです。

実験の説明、実験、片付け、考察、50分!

スムーズに実験ができました。
親水コロイドの保護作用の実験も入れてみると時間的にいいかもしれません。