少し前に、無機化学のハロゲン元素の定性実験をしました。
『ハロゲンの酸化力の強さ』
それぞれ0.1mol/LKBr臭化カリウム、KIヨウ化カリウムの水溶液を用意します。
無色透明の水溶液です。
塩素水、臭素水を数滴。
さらにすべてにヘキサンを2mLほど。
2層に分離しています。ヘキサンは水より軽い(密度が低い)ので
上層 : ヘキサン
下層 : 水溶液
よく振り混ぜます。
詳細は以前のハロゲンの酸化力に関するblog↓をご覧下さい。
さて、この実験で使用する塩素水と臭素水。
Cl2塩素とBr2臭素の水溶液のことです。
しかし、塩素も臭素も通常気体で、水に少しだけしか溶けません。さらに一部が水と反応してしまうという不安定なものなのです。
『塩素水』
熱や光に弱いため、薬品用の冷蔵庫に保管します。
ただ、実験の時に小分け点眼瓶に入れて各班の本数を準備するのですが、、、
1日で劣化?ダメ?
揮発して水に溶けてる塩素の濃度が低く?なってしまいます。
実験で臭化カリウムに塩素水を加える(上の2枚目の写真の一番左)のですが、、、
時間が経過した塩素水を使用すると色が薄くて反応がわかりにくくなってしまうのです。
準備はドラフトチャンバーの中で直前におこなって当日使いきります。
『臭素水』
こちらも不安定です。
臭素水の薬品ビンをそのまま薬品庫に保管すると腐食して錆び錆びになってしまいます。そこで揮発性用の保管容器に入れていますが、無色から褐色に変色してしまいます。
ビンをそのまま素手で触ると、手が炎症してしまうので手袋しています。
蓋を開ければ、もわぁっと褐色の気体が出るので吸い込むと危険です。ドラフトチャンバーの中で扱います。
試験管に少しだけ
時間が経つにつれて色の変化がみられます。分解されたり臭素水から臭素が抜けてしまったと考えられます。
古い薬品を処分するときに、この色を目安にして無色から薄い褐色のものは廃液として業者に任せました。
こちらも小分けにしていますが、使いきりです。
すぐに容器を空っぽにしておきます。
新品の点眼瓶は無色から、臭素水をわずかに入れただけで褐色に。
そして空っぽにすると直後は褐色ですが、徐々に変化していきます。
翌日
褐色が薄くなっています。
更に数日間ドラフトチャンバーの中に放置すると白色になります。
ただ、腐食性があるし、少し容器が劣化したような印象を受けるので、次回使用するとき要注意です。
準備、片付けなどかなり慎重に作業しなければ怖い薬品です。
実験事故事例で、床に溢してしまった臭素を拭き取ろうとしたところ、わずか1mLでしたが数人が具合が悪くなったという報告もあります
怖がり過ぎることも問題なので、その薬品の性質を勉強して安全第一で実験に望みたいです。
もし、取扱などに誤りがあれば教えて下さい。また、もっと良い準備管理方法などあればご意見ください