なんとなく実験しています

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日々のアウトプット、メモ帖、備忘録として

※正解は一つではないです。選択肢の一つとして参考にしていただければと。

センター2018化学 アセチルサリチル酸

先月のセンター試験化学の有機化学の分野で、サリチル酸からアセチルサリチル酸を合成する実験に関する出題がありました。

乾いた試験管にサリチル酸1g、化合物A 2g、濃硫酸数滴を入れ、この試験管を振り混ぜながら温める。
内容物を冷水に加えて沈殿をろ過してアセチルサリチル酸ができる。(省略してます)というもの。

白い針状結晶のサリチル酸1gです。

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試験管に入れます。

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化合物A、濃硫酸数滴(3滴)を加えます。

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振り混ぜながら温めます。(70度~80度で10分ほど湯浴)

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冷水を加えます。(氷水の入ったビーカーに試験管を入れて冷やしながら、中のドロドロに粘り気がある液体をガラス棒で試験管の壁面を擦るように撹拌すると、白い結晶が出てくるので、冷やした純水を約20mL加える)

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沈殿をろ過する。

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アセチルサリチル酸の白色固体が得られた。

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化合物Aは何かという問題で、選択肢は六つ。
メタノール
エタノール
ホルムアルデヒド
アセトアルデヒド
無水酢酸
無水フタル酸

正解は『無水酢酸』です。

エステル化、アセチル化、芳香族カルボン酸などの知識を押さえていれば簡単なサービス問題です。

しかし、生徒実験を以前したことがあるのですが、、、
アセチルサリチル酸の合成実験はかなりコツが必要で難しかったです

アセチルサリチル酸に未反応のサリチル酸が混ざっていないか確認するために必要な検出試薬として最も適当なものは何か?という問題。

選択肢は五つ。
1 塩化鉄3aq
2 フェノールフタレイン溶液
3 炭酸水素ナトリウムaq
4 水酸化ナトリウムaq
5 酢酸aq

というもの。
サリチル酸aqに1~5の試薬を加えてみました。

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実験でざっくり生成したアセチルサリチル酸aqに同様に加えてみます。未反応の物質に反応していますね。

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次に実験を丁寧に行って生成したアセチルサリチル酸aqに同様に加えてみます。未反応物は少ないみたいですね。

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ということで、正解は1番の塩化鉄3です。

サリチル酸は、フェノール類OH基とカルボン酸COOH基の両方の性質を合わせもつ面白い化合物です。

変化が見られたのは、1番の塩化鉄と3番の炭酸水素ナトリウムです。
サリチル酸に塩化鉄を加えると写真のように紫色に呈色されます。フェノール類特有の反応です。
アセチルサリチル酸にわずかにサリチル酸が混ざっている場合は薄い紫色にほんのり呈色されます。
そして、アセチルサリチル酸にほとんど混ざっていなければ、紫色に呈色されず塩化のうっすら黄色に。

炭酸水素ナトリウムは、写真では分かりにくいのですが、二酸化炭素の気体が発生しました。芳香族カルボン酸の反応です。

高校で習う有機化学の検出反応をきちんと覚えておけば、これまた簡単なサービス問題でした。

実際、生徒実験はかなり大雑把なので、どうしてもアセチルサリチル酸に未反応のサリチル酸が混ざってしまうので、この実験も行っていません